絵コンテの大切さと、制作効率の向上を体感した話【映像制作日記】

映像つくり

国内屈指の「一周させない系ハードエンデューロレース」ことCROSS MISSIONを撮影してきたので、その制作日記になります。

CROSS MISSION!!!
走破・冒険・技術 『楽しい!!』をCROSSして行く

CROSS MISSIONとは?

関東圏のコースを舞台に、年間を通して4戦くらい開催されているレースシリーズです。

ハードエンデューロという競技自体、「大自然のコースを相手に、バイクに乗って何周できるのか?」というレースフォーマットで、前提としてえげつないセクションや、スリリングなルートが舞台になります。

が、CROSS MISSIONに関しては「そもそも1周の完走率を20〜30%くらいに設定している」という狂気的なレースとなっており、その難易度をなんとか攻略してやろうと奮い立つ参加者達の熱いドラマを見ることができるのも醍醐味です。

2018年の第3戦は、僕がいつも練習でお世話になっていたオフロードパーク白井での開催、そしてFUNAI RACINGからはけむ蔵(男中田)とトシユキが参加。

「絵コンテを活用した構成力強化」を試してみたく、急遽撮影に行くことにしました。

今回の制作でのテーマ

事前にコンテで構成を練ってから撮影するです。

「撮れたものを見せるのか?見せたいものを撮るのか?」という言葉をどこかで見たことがあるのですが、まさにこれです。

映像の監督役(ディレクター)が「何を見せたいのか?」からスタートする映像の作り方を実現するために必要なのが、絵コンテです。

絵コンテの意味

絵コンテとは
映画や TV ドラマなどをつくるとき、シナリオを基に登場人物の動きやカメラの位置などを、カットごとに絵で示したもの。
出典:コトバンク

今までの撮影手法は、いわゆるドキュメンタリー(VLOG)でした。記録映像的なものです。映像を作るなら撮りやすいジャンルだと思います。

もともと僕が写真や動画を頻繁に撮って編集していたのは、すべて、「見返したときに、思い出を120%で振り返って、エモくなれるように」っていう自己満足的な理由が発端だったので、基本的にはドキュメンタリー(VLOG)形式+ミュージックビデオ形式の合わせ技でやってました。

でも、

  • ドキュメンタリー形式でばかり撮ると、どうしても飽きてくる。
  • YouTubeチャンネルの視聴者層も、基本的には友人やエンデューロ界隈で、そろそろ飽和状態。新規の視聴者がバイクや旅に興味を持ってくれるような、新鮮な映像を増やしていきたい。新鮮っていうのは、ジャンル的な意味でも、映像手法的にも。
  • 映像作りはじめて2年くらい経って、Premiere Proである程度の編集はできるようになってきた。
  • そして次の課題は「企画構成力」と「撮影力」という自覚がどんどん顕在化してきた

という稚拙な分析の結果、「絵コンテを用いた撮影」にチャレンジしました。

今回の絵コンテ

下記のURLにアップロードしています。

別タブでPDFファイルが開きます。6MBくらいのファイルサイズです。

2018-10-20_CROSS_MISSION_R-3_in_SHIRAI_storyboard.pdf

リリース後の反省点

映像でも写真でもなんでもですが、作品はリリースした後、フィードバックをしっかりと分析して、次に活かすのが大事です。

映像はエンターテイメント要素が強いので、リリース後にポジティブなフィードバックをたくさんいただきますし、めちゃめちゃに嬉しいものです。

逆に、「BGMの音圧がでかい」「もっと●●なシーンが観たい」といったフィードバックも、YouTubeのコメント欄やTwitterでいただくことがあります。貴重な意見なので、非常にありがたいです。

しかし、よほどの映像評論家や映画オタクでない限り、撮影手法や演出といった映像表現の裏側のフィードバックが上がってくることは稀です。当たり前っちゃ当たり前ですが、映像制作を共にしているメンバーがいるわけでもなければ、会社でもないので。

そのため、いつも自分自身で制作の反省点をまとめていますが、今回はそれを備忘録も兼ねて公開します。

絵コンテがあると、素材の要・不要の判断が楽。

いつも大体の映像構成は事前に簡単にメモしてありますが、今回はじめて絵コンテとして準備しました。

  • そもそも、マルチカム撮影は絵コンテがないとやりにいくい。
  • 第2カメラマンの存在を120%発揮させるためにも、どのカットをどういう意図で狙えばいいのか理解してもらう判断軸として絵コンテは大事。
  • 多彩なアングルで、適切な素材を、適切な量で揃えることができる。素材は大いにこしたことはないけど、無駄打ちや漠然と撮影した映像が多すぎると素材整理に膨大な時間を取られる。
  • 撮るべき映像がわかっているので、撮影時は「何を撮るか」を考えなくてよく、「いかに演出通りに撮れるか?」と、一段上の思考で撮影できる。
  • 「何を撮るか」決まっているので、現場でのとっさの美味しいシーンやアクシデントにも臨機応変に対応できる。
  • 編集と映像チェックにかかる時間が1/2〜1/3くらいになった。いつもは素材チェック→素材配置→構成調整→素材配置→構成調整…だったのが、素材チェック→素材配置で済むという。

今回でいくと、例えば

  • GoProを使った超低アングルからのカットは予め決めていたので、実際のセクションでは「GoProを保護しつつ、ライダーの邪魔にならない岩陰をしっかり探すこと」「一番水しぶきが上がる位置を探すこと」まで考えることができた。

GoPro HERO5でのショット。2.7KからフルHDに圧縮。

  • 「ある程度スピードが出て、集団での走行になるであろう沢のシーンを望遠で撮る」カットも予め決めていたので、ロケハンしなくてもカメラポジションを楽に探すことができた。

望遠105mm

とかですね。

フリップトランジションは「ヌル〜ン」くらいでちょうどいい。

僕がよく使ってるトランジションテクニックです。

▼この映像の8:06〜くらい。男性が目線を向けた先と、レーススタッフさんが登場する瞬間をフリップトランジションでつなげています。

これはREC終了時、

  1. カメラを一定の方向にシュッと振って
  2. RECを切ることで、
  3. クリップ(素材映像)の最後にアナログにブラーを起こし、
  4. 次のコマとのつながりをつくることができる簡単なトランジションテクニックです。

「このフリップ動作のスピード感はどれが正解なんだろう?」っていつも試行錯誤しています。

広角レンズ、望遠レンズそれぞれで適正な速度は変わりますが、だいたい「シュッ!」より「シュゥーヌルー」くらいで良さそう(何言ってんだ)

やりすぎは禁物ってことですね。

今度からは都度現場でプレビューバックしながら調整するようにしていきます。

シナリオに沿ったシーンは、最低2カット分、別アングルで収めるべき

コマ割りを意識して、黒澤明監督みたいにマルチカムでやれば効率的なんですけどね。

もしくは同じシーンを最低2回繰り返してもらうか。。

シーンの意図とセリフを先に明示する

人物に動いてほしいときには、「シーンの意図とセリフ」を先に明示すること。

そのまんまです。映画とかドラマの話になってきてしまいますが、カメラマンをやりながら、演出も考えていると、脳が一杯一杯になって、被写体への配慮が足らなくならないように。

日中はホワイトバランスを4300〜4700の間で。

いつもは少しだけウォーミーな映像にしたくて、ホワイトバランスは5000程度をスタンダードにしていたけれども、「白を白に見せる忠実性」を意識するなら、日中は4600くらいかなぁ。

ここはもっとちゃんと勉強します。

ストレートでのロングショットは望遠で狙うと圧縮効果で迫力が出る。

望遠で縦ラインにならぶライダーを正面から抑えると、圧縮効果で、画面内にライダーがドーンと映ってかっこいい。

あと望遠レンズを使って2カメ撮影するのであれば、やはり手ぶれが気になるので、三脚持ってって固定しておくこと。

カーブの撮影では、一番スピードが出るであろうカーブポイントをもっと的確に予想すべき

  • ライダーがカーブに侵入してくるスピード感
  • 曲がるときの一瞬の減速
  • コーナー出口を見つめるライダーの眼光
  • 再加速時の土煙

と、レース撮影においてカーブポイントは撮りどころが満載です。

だからこそ、惰性的にカーブポイントにカメラを構えるのではなく、3ステップ思考で撮影時の判断をスムーズに行うべき。

ステップ1

  • ライダーが派手にアクシデントを起こしそうなカーブはどこか?(撮れ高的な意味で!)
  • 一番速度の出るカーブはどこか?
  • クリッピングポイントはどこか?

という観点で、撮影ポイントを決定して、

ステップ2

  • 画角を横切るマシンのスピード感を表現するために、カメラをFIXさせて一瞬を切り取るか?
  • それとも被写体に追従するようにパンするのか?

という観点で、狙う演出、カメラの動き、画角を決定して、

ステップ3

  • カーブのイン側、アウト側のどちらから狙うと一番かっこいいか?
  • 撮影時にライダーの進路を妨げていないか?
  • カメラマンや機材の保護は担保できるか?

という観点で、ポジションを決めるようにする。

レンズ or センサーに汚れがあった。

編集時に大画面で映像をチェックしていて気がつきました。

撮影時はコンテ進行と、レース開始前の時間的成約もあり、機材チェックが疎かになっていた。反省。

アウトドアだからこそ、機材メンテとチェックに気を遣いたい。機材は大事に。お兄さんとの約束だ。

軽いは正義。一脚はやっぱり神ツールだった。三脚はマルチカムでの活用を検討。

三脚やゴリラポッドを用いた不整地でのカメラセッティングはただでさえ大変だが、ましてやスピード感のあるライブでの撮影となると、セッティングに時間をかけられないことが多々あります。

電動ジンバルがあれば、もっと簡単に安定した映像が撮れますが……いかんせん精密機械であり重量級機材である電動ジンバルを保護しながら野山のフィールドを駆け回るのは、

持ち運ぶ機材を減らして演出を割り切ったり

撮れるはずのシーンをあえて撮らずに体力を温存する

といった割り切り(諦め)が生まれてしまいます。

その点、一脚なら

軽く、頑丈で、カメラのブレも抑えることができ、パン・ティルトのカメラワークも可能で、セッティングも楽ちん。

八方美人か。

今後の一脚運用の課題は、

  • 手持ち撮影に切り替えるときや移動時は一脚が邪魔になるので、腰にぶら下げるツールが欲しい。Peak Designのアンカーリンクスシステムを装着して、カラビナとつなげれば、腰にぶら下げることができるかも。
  • もしくは、移動用のショルダータイプのカメラバッグを導入して、そこにワンタッチで一脚を収納できるようにするか。
  • パン(横)の動きはいいものの、ティルト(縦)の動きをもっとスムーズにしたいのと、簡易スライダー的なショットを狙いたい。「ビデオ雲台+簡易三脚付きモノポッド」の導入は必須。

三脚の活かしどころ

重いんですよね、三脚は。

ただ、以前は「事前にコンテの切ってある撮影でなら、使いたいなぁ」と思っていたけど、ライブ撮影時に2カメ、3カメを自立運用するときにも使えるので、やっぱり持っておかなきゃだめだなって思いました。

マルチカム撮影を意識するといろいろと可能性が広がっていいですね。

移動中にちょっと機材をクリーニングするときに、パッとグッズを取り出せるショルダーバックは、きっと使い勝手が良い。

Peak Design Everyday Sling 10Lが欲しい(笑)

身体が歪みやすいので日常生活ではなるべくショルダーバッグは避けてきたけど…

よくよく考えてみると、「一度身につけると、しばらくの間は鞄閉じっぱなしになるような通勤時やツーリング」では、なんだかんだバックパック一番楽なんです。

でも、レンズ交換したり、クリーニングキット取り出したり、メモリーカード交換したりと、映像撮影時は身体の動かし方が日常動作とは異なるのだから、それならショルダータイプでええやん!

と謎の自己解決と自己納得をしました。買います。

安くて程度の良いGH4を2台体制にしたい。

最強のフルサイズミラーレスと名高いα7ⅲの一本体制で、シームレスにエモーショナルなシーンを狙うのも、もちろんいい。

もちろんいいんだけど、カット編集を多用する意識で撮影するなら、三脚を使った自立式2カメ、3カメ運用は、テクニックとしてマスターしておきたい。

  • カメラから目を離すこともあるから、もしかすると盗まれたり、機材が倒れたりする可能性も0ではない。
  • だからある程度の性能でありながら手頃な価格のカメラが良い。
  • 2カメ、3カメ運用は、当たり前だけど映像でしか使わないので、静止画機能は気にしない。
  • 自立式でフォーカス固定のサブカメラとするなら、被写界深度の浅いボケのある映像(シャローフォーカス)はそこまで必要ない。
  • Log撮影にも対応していて、他のカメラとの色調整が簡単にできるもの…

とまぁ言い訳はいろいろと出てきますが、 一眼映像制作においては、やはりPanasonicのGH4が最強だなとひしひしと感じるここ最近です。

GH4が欲しいんじゃ!!!

登山靴ほんと大事。

ゴアテックスとかの防水なら沢や水たまりにも躊躇なく入れて、カメラセッティングや検証にためらいがなくなる。

ためらいがなくなると、良いアングルで狙えるのはもちろん、セッティング時に無理な体制になって怪我をする危険もなくなる。

すると撮影に集中できる。

意外と手のひらが泥とかで汚れるので、登山用のスティックが必要。

「今回はレース中のヘルプもしないし、手のひらを汚さないぞ!ボイ!」って思っていたけど、やっぱどうしてもお山レースは、手が汚れます。

「グローブつければいいじゃん」って話でもあるけど、山の中のセクションを上り下りして移動する際に、機材を地面や岩にぶつけないよう、身体をなるべく起こして移動したほうが良いって考えると、登山用のスティックが要るなと思いました。

実家にあるので、そのうち送ってもらいます。

ドキュメンタリーは、すでに興味がある人をファン化する。ストーリーは、興味がない人を惹きつける。

これは別に誰かに言われたわけでもなく、チャンネル登録者の属性を分析したわけでもないですが、ただなんとなく、編集の終盤でハッ!と天啓のように降りてきた確信です。

言葉にすると「当たり前やんけ」って感じですが、なんかこう、言葉でわかるのと、腹に落ちるのとでは全然違った感覚がありました。

海外や国内の優秀な映像クリエイターの作品をひたすら追いかけるのが趣味で、暇さえあればYouTubeやVimeoを観てきて、ずっと感じてきた憧れ、凄さ、かっこよさみたいな色々な感覚がストンんと整理された感じです。

総括

  • WEBサイト作るときも映像作るときも、シナリオやストーリーライティングは大事。引き続き構成力と撮影力を磨くこと。

  • 機材構成を再構築すること。

  • 絵コンテ力を向上させること。

  • 身内以外の人も撮っていく。

「今度のレースでモデルになってもいいよー!」「おれのマシンを撮ってくれ!」「イベントの紹介ムービー撮ってくれ!」「SNS用に店の紹介映像作ってくれ!」って人がいたら、是非撮らせてください。今なら無料です!(笑)

コメント

  1. koutamaking より:

    はじめまして!Twitterからやってまいりました!
    私も以前エンデューロの動画を趣味で作ってました。絵コンテ本当大事ですよね。。。
    私はそういう知識もなくただ撮ったネタをつなげて作っていたのでネタ選びが大変でした笑
    またカッコイイ動画楽しみにしています\(^o^)/

    • Pococii ポコーチー より:

      どうもはじめまして!
      このブログで初めてコメントもらえて嬉しいです(っ’ヮ’c)

      「絵コンテがなくても映像は作れるけど、絵コンテでコンセプトや軸を決めていると、もっと作りやすくなって楽しい!」って学びがあったのが一番の収穫でした。

      絵コンテ無いパターンのときは、素材の数を増やしまくるしかないので、編集のときに結構大変ですよね(笑)

      また動画を作ってTwitterで教えてください〜!